アウトランダーPHEVに「電気温水ヒーター」は必要ない理由

次世代のパワートレインとして期待されているPHEVも、ここ数年で大分車種が増え、三菱アウトランダーPHEVをはじめ、エクリプスクロスPHEV、トヨタのRAV4、PHVなど、だんだんと車種が選択できるようになってきました。
中でもPHEVの元祖モデルでもある三菱のアウトランダーPHEVは、これまでにも世界各国で沢山の販売実績があり、来年には新型の発売も予定されているために購入を検討している方も多いと思います。
アウトランダーPHEVには冬場にエンジンを掛けなくても暖房が使用できる『電気温水ヒーター』というオプション装備があります。
「エンジンをかけないで暖房が使えるのならお得だよね」と思って装備を検討している方も多いと思いますが、実はそんなに得でもないんです。
「えーっ、そうなの?」と疑問に思った方もいると思います。
今回はアウトランダーPHEVを所有して丸2年経つ私が『電気温水ヒーターは必要ない理由』についてまとめていきたいと思います。
アウトランダーPHEVの購入を検討している方は参考にしてみて下さいね。
アウトランダーPHEVの走行性能や燃費、オーナーによる不満点、満足点などの情報については下記の記事にまとめています。
検討中の方は参考になるものもあると思いますので、是非一読してみて下さい。
『電気温水ヒーター』のオプション装備について紹介
アウトランダーPHEVの『電気温水ヒーター』について、どんな装備なのかを説明していきますね。
アウトランダーPHEVは、定期的に充電を行った使用環境においては、エンジンは掛からず電気だけのモーター駆動での走行が可能です。(EVモード選択時)
電気だけのモーター駆動はスムーズな加速と静粛性優れていて、PHEV車はバッテリー残量がある限り電気のモーター駆動が可能なので、この点がPHEVの売りになっています。
しかし冬場の寒い時期にエアコンで暖房を使用すると、暖房の熱源として、エンジンの熱が使われることになります。
つまり、アウトランダーPHEVを冬場にエアコンをかけて走行すると、エンジンがかかってしまう状態になるわけです。
「えっ、じゃー冬はほとんどエンジンかかった走行になっちゃうじゃん」って思って、「電気温水ヒーターって必要だよね」と思って『電気温水ヒーター』のオプション装備を検討している方も多いと思うんですよね。
『電気温水ヒーター』というオプション装備は名前の通り、電気によって暖房の熱源を作ることが可能なので、冬場にエンジンをかけずに暖房をかけて走行することが可能になります。
「じゃーオプションで電気温水ヒーターをつければ、ガソリンを使わずにスムーズなEV走行が可能になるんだ」「ガソリンを使わなければコスパもいいしね」となってくる訳なんです。
①冬場でもスムーズなモーター走行が可能になる、②暖房でガソリンを使用しないので経済的、というのが『電気温水ヒーター』を装備する理由になってくるのかと思います。
『電気温水ヒーター』のオプション装備の価格は10万8千円になります。
何でもそうですが、対費用効果があれば装備した方がいいという話になりますよね。
でもアウトランダーPHEV所有者の私は「電気温水ヒーターの装備は必要なし」と思っています。
「電気温水ヒーターの装備は必要なし」と思う理由について、話していこうと思います。
『電気温水ヒーター』は必要ない理由
では『電気温水ヒーター』が必要ない理由について話していきます。
まず、電気温水ヒーターを装備すれば①冬場でもスムーズなモーター走行(EV走行)が可能になる、ということを見ていこうと思います。
電気温水ヒーターを装備すれば、冬場に電気だけのモーター駆動(EV走行)が出来ることは間違いないです。
しかし、逆に『電気温水ヒーター』を装備しなかった場合に、常時エンジンをかけていなきゃならないのか?というとそんなことは無いんです。
例えば、冬場の気温の低い日に暖房をかけるとエンジンが自動的にかかります。
EVモードのボタンを押していると、暖気が出ないのでほとんど暖房が効かない状態になります。
EVモードボタンを再度おしてEVモードをキャンセルすると、自動的にエンジンがかかって、エンジンが温まると暖気がでてきて、暖房が効くようになります。
10分位走行してエンジン水温がしっかり温まった状態で、EVモードを選択すると、エンジンが切れてEVモード走行になります。
この時はエンジンが温まっている状態ですので、EVモードで走行しながらでも暖気が出てきて、暖房が効いている状態を保つことができます。
EVモードの走行が15分位連続してくると、エンジンの水温が下ってきて、暖房の効きが弱くなってきます。(エアコン吹き出し口からは、冷たい風が出てくるようになる)
大体ですが、エンジンの水温が50度以下に下ってくると、暖気がとても弱くなってきます。
何でこんなことが分かるのかというと、私はハイブリッドモニターというものをつけていて、エンジンの水温状況がリアルタイムで分かるからです。
ハイブリッドモニターについて詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
ハイブリッドモニターについては▼▼▼
話を元に戻すと、つまり、エンジンの水温が50度より上にキープしてあれば、十分に暖房が効くということになります。
エンジンの水温が50度以下になってきたら、EVモードボタンをもう一度押して、ノーマルモードに戻すと自動的にエンジンが駆動します。
再びエンジン水温が十分に上がったら(80℃以上)再びEVモードに戻す。
これを手動で繰り返せば、EV走行をしながらも、暖房をかけ続けることが出来ます。
私のこれまでの使用実績から言うと、一度80度以上にあがったエンジン水温は50度位に下がるまでに15分位はかかります。
エンジン水温が上がるのはすぐに上がってしまいますので、暖房をかけながらでも実は70%位の時間はEVモードでの走行が可能という訳です。
なので話を戻すと、別に『電気温水ヒーター』をオプション装備しなくても、十分に ①冬場でもスムーズなモーター走行(EV走行)が可能ということが言える訳です。
エンジン水温が上がるまでの僅か5分、10分足らずの時間、エンジン駆動をすれば事足りてしまうということが言えるわけです。
ではもう一つの『電気温水ヒーター』を装備する理由の ②暖房でガソリンを使用しないので経済的 ということについてみていきましょう。
『電気温水ヒーター』は名前の通り、電気ヒーターの熱源で温水にして暖房の暖気を作りますので、当たり前ですが電気の使用容量はアップしてしまいます。
私は『電気温水ヒーター』を装備していないので、どれくらい電気を食ってしまうのかは具体的には分かりませんが、他の電気自動車(日産リーフなど)で暖房を使用すると、どうやら2割位は走行距離が低下してしまうという話もありますので、電気で暖房の熱源を作る場合は結構電気を食ってしまうと考えてよいかと思います。
アウトランダーPHEVの場合は、バッテリー残量ゼロでエンジンを回して走行しても、市街地でリッター燃費が15km位ですので、冬場にエンジンを少しの時間かけたとしても、そんなに燃費が悪くなる訳ではないです。
なので『電気温水ヒーター』をつけたとしても、電気の使用量がアップしてしまいますので、経済的なのかというと実はそうでもないということになります。
ガソリンを使用してエンジンを回して暖房の熱源にするのか、電気を沢山使用して熱源を取るのかの違いで、経済性という視点で見た場合に、そこまで極端な差は無いのではと思います。
じゃー何でそんな装備があるの?と思いますが、『電気温水ヒーター』を使用した場合の決定的なメリットもあるのです。
『電気温水ヒーター』が必要な使用方法
これまで『電気温水ヒーター』はあんまりお得では無いよ、という話をしてきた訳ですが、『電気温水ヒーター』を付けた方がいいよという場合があるのです。
『電気温水ヒーター』の装備をオススメするのは、車中泊やキャンプなどに冬場でもよく行くという方です。
車中泊など駐車場でエンジンを回すことに対して、騒音とか排気ガスとかの問題で結構気にされる方も多いと思います。
『電気温水ヒーター』はあれば、エンジンを一切かけることなく暖房を使用することが出来ますので、キャンプ場や駐車場でのアイドリング問題は解消できますね。
でも、実は『電気温水ヒーター』を装備しなくてもうまく使用すれば、駐車場でアイドリング無しに暖房を使用することが出来るのです。
アウトランダーPHEVは外部電源が付いていますので、駐車場でEVモードにして、市販のヒーターを車内の電源から使用すれば、一応暖房を使用することが出来ます。
車中泊で寝る時は、電気毛布などを使用すればよりいいのかもしれませんね。
ということで、『電気温水ヒーター』が無くても裏技的にはなりますが、一応駐車場でエンジンをかけずに暖房をとることが可能です。
まとめ
これまで『電気温水ヒーターは必要ない理由』についてみてきました。
『電気温水ヒーター』を装備しなくてもちょっとした工夫次第で、冬場でも暖房をかけながらスムーズなモーター走行が可能ですし、経済的にもそんなに変わらないということが分かっていただけたのではと思っています。
しかし『電気温水ヒーター』を装備すれば、駐車場でエンジンのアイドリング一切なしに暖房が使えるというメリットがあります。
キャンプや車中泊をよくする方は、検討しても良いのかもしれませんね。
『電気温水ヒーター』のオプション装備の価格は10万8千円ですから、普段の一般的な使用の仕方であるば、装備しなくてもそれほど不便というものでもないのかなと思っています。